黒田が慶應義塾で行っている講義

生命現象と現実社会の比較論
基礎分子生物学1/2
脊椎動物のボディプラン
細胞レベルの生命科学による革新

授業科目名「生命現象と現実社会の比較論」
対象:学部生
授業内容のキーワード:細胞・進化・発生・生態・分子生物学
授業の狙い:生物学を学ぶ上で、非常に重要な事柄ほど現実社会の例に置き換えられることが多い。本授業では、生物学を学んだ背景のある無しに関わらず、生物学を代表する重要かつ面白いトピックを現実社会にたとえながら紹介していく。生徒自身が生物学に興味をもち、その後、深く自力で学んでいける土壌を育てることを大きな目的としている。
授業計画:下に示す生物学の各トピックを各授業で1つずつ説明する。各授業には殆ど関連はなく、基本的にその回だけで話が完結するストーリー構成にする。しかし、全体を学ぶことによって、連鎖的に学習効果が上がるような仕掛けも入れていく。
01. はじめに
02. 進化の原動力
03. たまごの科学
04. 生物の分類
05. 細胞内小器官
06. 細胞内骨格
07. 呼吸
08. 代謝
09. 同化
10. セントラルドグマ
11. 遺伝子工学
12. アレルギーの仕組み
13. 遺伝の仕組み
14. 生殖
15. 人の心を制御する分子
予習・復習:予習は必要なし。復習はノートを参考に興味をもった内容について、自力で学習することが望ましい。
成績評価の方法と基準:主にテストで決める。
補足メッセージ:授業で説明できる内容は限られています。自力で勉強した内容、授業で不明であった内容について、更なる質問等があれば、遠慮無く、お気軽に尋ねて下さい。


授業科目名「基礎分子生物学」
対象:学部生
授業内容のキーワード:DNA、RNA、タンパク質、セントラルドグマ、遺伝子工学
授業の狙い:将来、バイオ系研究者を目指す人、医療系の仕事に従事しようと思う人、そしてモダン生物学を本格的に学びたい人に対して、慶応はもちろん、一般的な一流大学のバイオ系大学院に合格できる基礎知識を身につけることを大きな目的とする。教科書として、エッセンシャル細胞生物学を用い、本授業では全20章のうち、最初の10章を説明する。授業は、学生が週に1つの章を読む上での導入を助けること、義務化することでリズムをつくる役割を担う。基本的に教科書をしっかりと読み込んで学習しようという意識のない者は受講すべきではない。
授業計画:

01. はじめに
02. 第1章 細胞とは
03. 第2章 細胞の化学成分
04. 第3章 エネルギー、触媒作用、生合成
05. 第4章 タンパク質の構造と機能
06. 第5章 DNAと染色体
07. 第6章 DNAの複製、修復、相同組換え
08. テスト1
09. 第7章A DNA→RNA
10. 第7章B RNA→タンパク質
11. 第8章 遺伝子発現の調節
12. 第9章 遺伝子とゲノムの進化
13. 第10章 遺伝子とゲノムの解析
14. テスト2
15. 敗者復活戦テスト(過去問無し)
予習・復習:予習は必ずしも必要無いが余裕があれば、学習する章について目を通しておくことが望ましい。当日、説明する内容についてはノートをとり、どこがその章の軸であるのかを学習する。その後、1週間に約3時間程度の学習時間を確保し(例えば土曜の朝7時から10時はそれにあてるなど)、しっかりと内容を読み込むこと。
成績評価の方法と基準:主にテストで決める。
補足メッセージ:授業だけでOKという甘い授業ではありません。これは、バイオサイエンスを深く学ぶための資格があるかないかを決めるための授業だと思って下さい。後期に別の教員によって行われる基礎分子生物学3/4をあわせて、全て合格すること。


授業科目名「脊椎動物のボディプラン」
対象:大学院生
授業内容のキーワード:発生生物学、脊椎動物、卵、胚、シグナルトランスダクション
授業の狙い:卵から最終的な形をした成体ができあがっていくメカニズムを解明する学問が発生生物学であり、特にその設計図にあたるものを「ボディプラン」と呼ぶ。本授業では、脊椎動物の脊索が形作られるために必要な原因分子を明らかにし、神経形成や背腹の形成について研究に取り組んできた教員自身の研究内容のメインとなる部分を理解してもらうことを目的としている。しかし、そこまでの専門性を求めないが発生生物学に触れたいとう専門外の学生のために、前半を入門編として、後半を専門編として実施する。単位は入門編だけで出せるようにするが、良い成績をとるためには専門編を学ぶ必要がある。
授業計画:前半に分子生物学の基本を教え、後半に分子発生生物学を教える
01. はじめに
02. 入門1 エボデボ
03. 入門2 卵割
04. 入門3 胚葉
05. 入門4 オーガナイザー
06. 入門5 脊索の重要性
07. 入門6 変態
08. テスト
09. 専門1 ディターミナント
10. 専門2 モルフォジェンとアンタゴニスト
11. 専門3 BCNEセンター
12. 専門4 ディフォルト神経理論
13. 実験講座1 ツメガエル胚を用いた受精実験(前)
14. 実験講座2 ツメガエル胚を用いた受精実験(中)
15. 実験講座3 ツメガエル胚を用いた受精実験(後)
予習・復習:予習は必要なし。復習はノートを参考に興味をもった内容について、自力で学習することが望ましい。
成績評価の方法と基準:入門編は主にテストで決める。専門編は主に課題で決める。
補足メッセージ:授業で説明できる内容は限られています。自力で勉強した内容、授業で不明であった内容について、更なる質問等があれば、遠慮無く訪ねて来て下さい。本格的に研究者になりたい、研究をしたいと思われる方はどんどん相談して下さい。


授業科目名「細胞レベルの生命科学による革新」
対象:学部生
授業内容のキーワード:ノーベル賞、細胞生物学、分子生物学、遺伝子工学
授業の狙い:過去30年間のノーベル賞を振り返ってみると、医学生理学賞の約7割、化学賞の約5割、そして物理学賞にもバイオサイエンスと結びつきのある内容の研究が受賞の対象となっている。本授業では、それらのノーベル賞を受賞した研究の中から、1)非常に重要なもの、もしくは2)日本人が関わっているもの、を基準にトピックを絞り、毎回、完結する方式で説明していく。それぞれの研究がなぜノーベル賞を受賞するに値したのか、を学ぶことによって、バイオサイエンスの理解はもちろん、価値のある研究にはどのような特徴があるのか、といったことも含めて学習してもらいたい。
授業計画:

01. 時代に認められた研究
02. 抗体の多様性を生み出す原理 利根川進 1987年・医学生理学賞
03. 生体高分子の効果的な同定法 田中耕一 2002年・化学賞
04. 成長因子の発見 1986年・医学生理学賞
05. 初期発生に関わる重要な遺伝子群 1995年・医学生理学賞
06. ES細胞技術 2007年・医学生理学賞
07. ユビキチン〜細胞内のゴミ処理方法 2004年・化学賞
08. 細胞の自殺 2002年・医学生理学賞
09. 緑に光るタンパク質 下村脩 2008年・ノーベル化学賞
10. 真核生物の転写機構の解明 2006年・化学賞
11. 核酸の塩基配列の読み方 1980年・医学生理学賞
12. PCR法 1993年・医学生理学賞
13. RNA干渉 2006年・医学生理学賞
14. iPS細胞 山中伸弥 2013年・医学生理学賞
15. 近い将来、受賞しそうな研究
予習・復習:予習は必要無い。当日、集中して説明を聞いて、真剣に実験に取り組み、ノートをとり、そしてまとめること。
成績評価の方法と基準:主にテストで判定する。
補足メッセージ:授業で説明できる内容は限られています。自力で勉強した内容、授業で不明であった内容について、更なる質問等があれば、遠慮無く訪ねて来て下さい。本格的に研究者になりたい、研究をしたいと思われる方はどんどん相談して下さい。