Xenopus/Silurana tropicalis情報

問合せ先:弓削昌弘(yuge fwu.ac.jp)

tropicalisの産卵

tropicalisの系統

  日本に導入された系統について

日本でのtropicalisの飼育状況

Tropicalis mailing list の情報

 


Tropicalis mailing list (TROPLIST)の情報

ZimmermanとGraingerが中心となって作ったtropicalisのmailing listがあります。tropicalisばかりでなくlaevisに関しても有益な情報が入りますので是非加入してみて下さい。登録を希望する方は、下記のサイトに行きウェブ上で申し込んで下さい。

https://list.mail.virginia.edu/mailman/listinfo/troplist

 

 





トロピカリスの産卵

(情報提供:弓削昌弘)



 

  1. 0.1単位/μlのゴナドトロビン(帝国臓器)を100μl(10 units)ずつオスとメスの両方に注射し、別々の入れ物に入れておく。水は汲みおき水か0.1X MMR水温は25℃
  2. 注射後48時間以降に1単位/μlのゴナドトロビン100μlずつオスとメスの両方に注射し同じ入れ物に入れて暗くしておく。水は汲みおき水か0.1X MMR水温は25℃。
  3. 2-3時間でつがい始める。4時間後くらいから卵を産み出す。途中で急に明るくするとオスメスが離れてしまうので注意。
  4. 注意点
    1. 卵がベタベタするので採卵が難しい
    2. 脱ゼリーは2%システインpH8くらいの条件で手早くする。チオグリコール酸の方が良いかもしれない。
    3. カエルが産んだ卵を食べてしまうのでかごなどの中で産ませると良い


     





    tropicalisの系統


     

    研究用に導入された tropicalis には大きく分けて二系統がある。どちらとも遺伝子解析の標準化を目標として、現在近交系の作成が進行中である。 両方とも特定の地名に因んだ系統名を付けているため混乱するかもしれないが、捕獲地域が同じだからと言って同じ系統とは限らない。例えば、Nigerian とは、以下に述べるように、Marc Kirschner 研由来の特定の系統であって、単純にNigeriaで捕獲されたからといってNigerian系統とは呼ばない。

    1. Nigerian


      Marc Kirschner研究室が直接Nigeriaから導入したカエル由来のもの(Lyle Zimmermanからの情報)。Robert Grainger の研究室で、兄妹交配を繰り返しており2002年12月現在、7世代(N7)まで存在している。N6がJGIのXenopus Genome Projectの標準系統となっている。
      Sanger InstituteのESTプロジェクトはEnrique Amaya 研究室から提供されたNigerian strain を使っているが何世代目なのかいくつかの世代の混合なのかは不明。

      Nigerian Lineage
      (modified from originally drawn by Kurt Stephenson)

    2. Ivory Coast


      もともとMichail Fischbergが収集したカエルで、ジュネーブのXenopus Stock Centerから供給されて広がったもの。こちらもRobert Grainger の研究室で、兄妹交配を繰り返している。2003年1月現在6世代(IC6)まで存在する(UVA の中山氏よりの情報)
      フランスで行っているESTはIvory Coast を用いており、Xenopus Stock Centerから供給されたもの。

    3. Others


      浅島研究室Stock A: アメリカの業者がアフリカで捕獲したもの(詳細はDevel. Growth and Differ, vol. 44 427-436, 2002 参照)

      Mutt: Grainger 研で系統が確認できなくなった混合コロニー由来のカエル

      Colorado: アメリカのコロラド州の業者から日本の業者が輸入したもの

      以上三系統は染色体の本数は確認済で、原則的に20本である。

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    日本に導入された系統について

       日本には研究用動物としては、1996年12月奈良先端技術大学の安田研究室にUVA(University of Virginea) のRobert Grainger 研究室より初めて導入された。Nigeria 系統の可能性が高いが、当時の記録が残っていないために断言はできない。日本の研究施設で飼育中のtropicalisは、その多くが安田研究室由来である。

       その後、UVA由来の系統がいくつかと、実験動物取扱業者によって独自に輸入されたいくつかの系統がある。比較的大きなコロニーとしては、広島大学理学部両生類研究施設で飼育中の安田研由来のカエルと、東京大学の浅島研究室の安田研由来の系統とアメリカの飼育業者の?から購入したものがある。また、純系ではないがUVA 由来のMutt のコロニーとColoradoを(株)ハードという飼育業者が保持している。

       日本に存在するtropicalis で Nigeria strain として今のところ明かなものは、UVA からUCIのKen Cho氏を介して姫路工業大学に譲られたN4由来のカエルだけで、現在福岡女子大学弓削研究室で飼育中である。また、広島大学両生類研究施設がバイオリソースプロジェクトの為に、UVAよりN7を入手する予定である。

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    日本でのtropicalisの飼育情報

    2003年1月1日現在

    研究室

    UVA 由来

    その他

    不明

    安田研由来

    Mutt

    Cho研由来

    Nasco

    Colorado

    親ガエル

    子ガエル

    親ガエル

    子ガエル

    親ガエル

    親ガエル

    子ガエル

    親ガエル

    子ガエル

    奈良先端科学技術大学安田研究室

    200

    奈良先端科学技術大学加藤研究室

    16

    東京大学浅島研究室

    300

    300

    横浜市立大学内山研究室

    8

    4

    北海道大大学栃内研究室

    7

    35

    姫路工業大学渡辺研究室

    東北大学井出研究室

    6

    5

    基礎生物学研究所上野研究室

    広島大学両生類研究施設

    100

    200

    福岡女子大学弓削研究室

    8

    12

    16

    40

    熊本大学高宗研究室

    4

    業者

    株式会社ハード

    30

    100

    700

    100

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